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日本版DBSの「立入検査」はある?10月に決まった監督のルールで分かった、施行後に国がチェックすること

日本版DBSの立入検査はあるのか。教室の経営者が記録のファイルを開き、こども家庭庁の職員2人に説明している様子のイラスト
a.matsuo@konohanoko.com

「認定を取ったあと、国の人が教室に来ることってあるんですか?」

「もし何か足りなかったら、いきなり認定を取り消されるの?」

日本版DBS(こども性暴力防止法)のご相談で、最近とても増えている質問です。

実はこの答え、つい最近まではっきりしていませんでした。それが2026年10月1日、こども家庭庁が「監督等指針」というルールを公表したことで、ようやく見えてきたんです。

結論からお伝えします。

  • 立入検査はあります。ただし、原則として事前に連絡があります
  • いきなり取消し、ではありません。多くの場合は「ここを直してください」という指導から始まります
  • そして国が見るのは、書類がそろっているかより、書いたルールを実際にやっているかです

この記事では、施行後に国がどんな流れで、何をチェックするのかを、できるだけかみくだいてお話しします。

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日本版DBSの「監督等指針」とは?

監督等指針とは、こども家庭庁が事業者をチェックするときの「やり方」を、国自身が定めたルールです。

警察の取り締まりにマニュアルがあるように、国が事業者を監督するときにも「何を、どの順番で、どこまでやるか」の決まりが必要です。それを先に公表しておけば、「担当者によって厳しさがバラバラ」ということも防げます。

指針は、事業者のタイプごとに2本に分かれています。

あなたの事業所当てはまる指針
学習塾・スポーツクラブ・習い事など、認定を受ける事業者認定事業者等に係る監督等の指針
学校・認可保育所・放デイ・児発など、義務の事業者犯罪事実確認実施者等に係る監督等の指針

義務の事業者は「二重チェック」になる

放デイや保育所などの義務事業者の方は、ここが大事なポイントです。

こども家庭庁の監督とは別に、これまでどおり所轄庁(都道府県や市など、ふだん指導監査に来る役所)のチェックもあります。しかも同じ10月1日付で、障害児通所支援や保育所などの指導監査のルールも、日本版DBSに合わせて見直されました。

役割分担はざっくりこうです。

  • こども家庭庁:犯罪歴の確認がきちんとできているか、その情報を安全に管理しているか
  • 所轄庁:犯罪歴の確認に加えて、相談窓口・研修などの「日頃の安全対策」もできているか

つまり、いつもの実地指導の項目に、日本版DBSが加わるというイメージです。両者は情報を共有し、必要があれば一緒に立入検査をすることもある、とされています。


施行後、国のチェックはこう進む

監督の流れは、大きく5つのステップです。定期報告に問題がなければ、通常はそこで終わります。定期報告のほか、情報漏えいの報告や外部からの通報などで問題が疑われたときに、先へ進んでいく仕組みです。

日本版DBS施行後の国の監督の流れ。①定期報告のチェック、②報告徴収(書類で説明)、③立入検査(原則事前連絡)、④指導、⑤命令・公表・取消しの5段階。問題がなければ通常は①で終わる

① 定期報告のチェック

日本版DBSでは、事業者が年に1回、国に「きちんとやっています」という定期報告を出します。

国はまず、この報告が期限までに出ているか、中身に抜けがないかを確認します。認定事業者については、毎月、前月に期限を迎えた事業者が期限までに出しているかをチェックする、とまで書かれています。

出し忘れていれば「すぐ出してください」、不備があれば「直して出し直してください」と求められます。ここで内容に疑問があると、次のステップに進みます。

② 報告徴収(書類で説明を求められる)

報告徴収とは、国から文書で、期限つきで「この点を説明してください」「この資料を出してください」と求められることです。

定期報告の中身、通報、過去の指導歴などを見て、国が必要と判断した事業者が対象になります。

③ 立入検査(事業所に来る)

ここで初めて、国の職員が事業所に来ます。

  • 職員2名以上のチームで来る
  • 事務所や教室に入り、質問をしたり、帳簿や書類を確認したりする
  • 経営者だけでなく、現場のスタッフに質問することもある
  • 必要に応じて、利用者(保護者など)から任意で話を聴くこともある
  • オンライン会議の形で行うこともある

「抜き打ちで来るの?」という点は、指針にこう書かれています。

原則として、対象となる認定事業者等に対して、立入検査を実施するに先立って、対象となる事業所等、実施日、立入検査を実施する職員の氏名その他必要な事項を通知する。ただし、個々の事案における立入検査の目的に照らして、事前にこれらの事項を通知することが不適当であると認める場合は、当該通知をせずに立入検査を実施する。
(こども家庭庁「認定事業者等に係る監督等の指針」2026年10月)

要するに、ふつうは事前に連絡が来る。でも、事前に知らせると証拠を隠されそうなケースなどでは、連絡なしで来ることもある、ということです。

なお、報告徴収に応じない・立入検査を拒む、といった対応は罰則の対象です。認定事業者の場合は、それ自体が認定取消しの理由にもなり得ます。

④ 指導(「ここを直してください」)

チェックの結果、問題があれば助言や指導が行われます。原則として文書で、「何を・どう直すか」を具体的に示す、とされています。

指針には、監督が「形式的」にならないよう、問題の原因と直し方を明らかにして具体的に助言・指導する、という基本方針も書かれています。「厳正に」行うとしつつも、罰を与えて終わりにせず、改善につなげることを重視している姿勢が読み取れます。

⑤ 命令・公表・取消し

指導しても直らない、あるいは最初から重大な違反がある。そういうときに初めて、命令などの「重い処分」に進みます。

ここは、事業者のタイプで中身が変わります。

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認定事業者:最終的には「取消し」と「公表」もある

塾やスポーツクラブなど、認定を受ける事業者の場合、重い処分は3つです。

処分どんなときに
適合命令認定の基準を満たさなくなったとき(例:研修をやっていない、相談窓口がない)
是正命令犯罪歴の情報が漏れるなど、情報管理に違反があったとき
認定の取消し命令に従わない、犯罪歴の確認をしていない、など

いきなり取消し、ではない

指針では、命令や取消しの前に、原則として「期限を決めて自主的に直してもらう指導」をすることになっています。そのうえで、言い分を伝える機会(弁明の機会・聴聞)も設けられます。

ただし、ここは誤解しないでください。この「まず指導」は必ず通る段階ではないとも書かれています。また、法律上「取り消すものとする」とされている事由——たとえば必要な犯罪歴の確認をしていなかった場合——は、法律上、必ず取り消すこととされています。この場合は「まず指導」の段階はなく、聴聞(言い分を聞く手続き)を経て取消しに進みます。

取り消されると、名前が公表される

認定が取り消されると、こども家庭庁のウェブサイトで公表されます。理由が「犯罪歴の確認をしていなかった」場合は、事業者名・住所・代表者名・違反した事業所・違反内容・対象になったスタッフの人数などが公表されます。

保護者に「安全な教室です」と示すための認定が、逆に「確認を怠った教室」として名前が出てしまうわけです。認定マークを掲げる以上、ここは重く受け止めておきたいところです。

さらに、情報管理に関する命令(是正命令や、情報管理の基準についての適合命令)を受けると、直すまでの間、その事業者が申請しても犯罪歴確認の結果(犯罪事実確認書)が国から交付されません。新しく採用した人も、原則として子どもの前に立たせられないということ。運営への影響はかなり大きいでしょう。

認定のメリット・デメリットをもう一度整理したい方は、こちらもどうぞ。

日本版DBS認定マークは取るべき?メリット・デメリットと「あえて取らない」選択肢
日本版DBS認定マークは取るべき?メリット・デメリットと「あえて取らない」選択肢

義務事業者:違反すると「事業者名の公表」

放デイ・児発・保育所などの義務事業者には「認定」がないので、取消しもありません。代わりにあるのが公表と是正命令です。

  • 犯罪歴の確認をしていなかったとき → 事業者名・代表者名・住所・違反した施設・違反内容・人数などが、こども家庭庁のサイトで公表される(直したことが確認されれば、公表は終わる)
  • 犯罪歴の情報の管理がずさんだったとき → 是正命令(認定事業者と同じく、直すまで犯罪事実確認書が交付されません)

そして先ほどお話ししたとおり、所轄庁の指導監査でも日本版DBSの項目が見られます。指定事業の監査と、こども家庭庁の監督。どちらの目も意識しておく必要があります。

放デイ・児発の対応の全体像は、こちらにまとめています。

放課後等デイサービス・児童発達支援の日本版DBS対応|義務事業者が施行前にやるべきこと【2026年10月更新】
放課後等デイサービス・児童発達支援の日本版DBS対応|義務事業者が施行前にやるべきこと【2026年10月更新】

国が実際に見るのは「やっているか」と「記録」

ここは、私たちが一番強くお伝えしたいところです。

指針には「監督等の観点」という、チェック項目の一覧がついています。読んでいて気づくのは、ほとんどの項目が「規程を作っているか」ではなく、「実施しているか」という聞き方になっていることです。

いくつか、かみくだいて抜き出してみます(認定事業者向けの項目から)。

  • 子どもの様子を日常的に観察しているか
  • 子どもへの定期的な面談やアンケートを実施しているか
  • 相談窓口を作り、子どもと保護者に知らせているか
  • 研修を、座学と演習(ロールプレイなど)を組み合わせて実施しているか
  • 犯罪歴の確認を、期限内に終えているか
  • 犯罪歴の情報を、決めた期限までに廃棄しているか
  • 帳簿を毎年度作って、決められた期間(5年たつ日の年度末まで)保存しているか

どうでしょう。規程に「定期的にアンケートを実施する」と書くのは簡単です。でも、立入検査で「では、直近のアンケートを見せてください」と言われたとき、すぐに出せるでしょうか。

規程の多くは、国がひな型を出しています。書類を作るだけなら、それほど難しくありません。でも監督で問われるのは、その規程どおりに毎月・毎年、回っているか。そして、それを記録で示せるかです。


施行前に、今から整えておきたい3つのこと

監督は施行日(2026年12月25日)以降の話です。でも、準備は今からしかできません。

  1. 「やったこと」が残る仕組みを作る:アンケートの実施記録、研修の出席表、相談の受付記録。後から作ることはできないので、最初から残る形にしておきます。
  2. 定期報告の期限を、カレンダーに入れておく:最初のつまずきは「出し忘れ」です。いつ・何を報告するのかを、担当者と一緒に確認しておきましょう。
  3. 「誰が対応するか」を決めておく:国から報告を求められたとき、立入検査の連絡が来たとき、誰が窓口になるか。小さな事業所ほど、ここが決まっていないと慌てます。

細かく見ていくと、「この記録はどこまで残せばいい?」「うちの研修は”演習”に入る?」「定期報告の期限っていつ?」と、ここから先は正直ややこしくなってきます。事業所ごとに答えが変わる部分でもあるので、迷ったら専門家に聞いてしまうのが早道です。

全体の準備の流れは、こちらの記事で確認できます。

【2026年10月版・施行まで約2か月半】日本版DBS対応の準備スケジュール|いつ何を進めるか
【2026年10月版・施行まで約2か月半】日本版DBS対応の準備スケジュール|いつ何を進めるか

よくある質問(FAQ)


【行政書士から一言】
監督のルールを読んで一番感じたのは、「書類より運用」という国のメッセージです。認定を取るところまでは、ひな型と申請書でなんとかなります。本当に大変なのは、取ったあとの毎月・毎年の運用と記録。ここを一緒に回すのが、私たちの「運用顧問」の役割です。

Q
Q. 日本版DBSの立入検査は、すべての事業所に来るのですか?

いいえ。定期報告の内容、情報漏えいの報告、通報、過去の指導歴などを総合的に見て、国が必要と判断した事業所が対象です。

Q
Q. 立入検査は抜き打ちですか?

原則として、事前に日時や職員の名前などが知らされます。ただし、事前に知らせることが適当でないと判断された場合は、連絡なしで行われることもあります。

Q
Q. 問題が見つかったら、すぐに認定を取り消されますか?

多くの場合、まず期限を決めて自主的に直すよう指導が行われます。ただし、指導を経ずに命令や取消しに進むこともあります。また、犯罪歴の確認をしていなかった場合などは、法律上必ず取り消すこととされており、指導の段階を経ずに聴聞→取消しに進みます。

Q
Q. 義務事業者(放デイ・保育所など)は、所轄庁とこども家庭庁の両方から監督されるのですか?

はい。こども家庭庁は主に犯罪歴の確認と情報管理を、所轄庁は犯罪歴の確認に加えて相談・研修などの安全対策を、それぞれ監督します。両者は情報を共有し、一緒に立入検査を行うこともあります。

Q
Q. 監督の結果は公表されますか?

国は原則として毎年度1回、監督の結果の概況を公表するとしています。また、認定の取消しや、義務事業者の犯罪歴確認の義務違反があった場合は、事業者名などが公表されます。

まとめ:怖がるより、「見せられる状態」をつくる

  • 2026年10月、こども家庭庁が監督等指針を公表。施行後のチェックの流れが決まった
  • 流れは「定期報告 → 報告徴収 → 立入検査 → 指導 → 命令・公表・取消し」。いきなり処分ではない
  • 立入検査は原則事前連絡。ただし例外あり
  • 国が見るのは「規程があるか」より「実施しているか・記録があるか」

日本版DBSは、認定を取って終わり、規程を作って終わり、ではありません。施行後は「やっていること」を国に見せられる状態を保ち続ける必要があります。

「うちの記録の残し方で大丈夫?」「定期報告、誰がやる?」という段階から、行政書士と社労士がチームでお手伝いします。犯罪歴確認は、交付された確認書を見る(閲覧する)ことだけは事業者ご自身にしかできませんが、それ以外の申請手続きは行政書士がサポートできます。そのうえで、体制づくり・記録の仕組み・定期報告の準備はお任せください。

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    日本神話に登場する、桜の花のように美しく、そして燃えさかる炎の中でも我が子を産んだ、強く優しい女神・コノハナサクヤヒメ。 その大切な「子」たちを、現代社会の中でしっかりと守り育みたい。 私たち「このはのこ」は、そんな一つの願いのもとに集まった、行政書士と社会保険労務士の専門家チームです。 子どもたちを取り巻く環境には、様々な法律やルールがあります。 私たちは、許認可申請などの法的手続きの専門家「行政書士」と、働く環境づくりの専門家「社会保険労務士」が手を取り合うことで、事業者様が抱える課題を多角的に、そしてワンストップで解決します。
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