日本版DBS

任意団体でも日本版DBS認定は取れる?法人格なしで申請できる3つの条件と注意点

日本版DBS認定の人数要件の比較図。教える人は施行令第1条で3人以上(認定の入口)、情報管理は施行規則第12条で責任者を含め2人以上(認定の基準)。別の要件だが同じ人が両方を兼ねてよい。
a.matsuo@konohanoko.com

「うちは法人じゃないけど、日本版DBSの認定なんて申請できるの?」

こども食堂で学習支援をしている、地域のスポーツクラブをボランティアで運営している、保護者の有志で子ども向けの教室を続けている——。そんな任意団体(法人格のない団体)の代表の方から、最近こうしたご相談が増えています。

法人と違って登記もしていないし、「事業者」と名乗っていいのかも自信がない。そもそも申請の土俵に乗れるのか、という不安ですよね。

結論からお伝えします。法人格のない任意団体でも、日本版DBSの認定は申請できます。 ただし、いくつか満たすべき条件があり、「法人じゃないから簡単」というわけでもありません。

この記事では、任意団体が認定を申請できる条件、必要な書類、そして見落としやすい落とし穴を、こども家庭庁の施行ガイドラインに沿って整理します。

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【結論】法人格がなくても、任意団体は認定を申請できる

まず、いちばん知りたいところから。

日本版DBS(こども性暴力防止法)の認定は、株式会社やNPO法人などの法人でなくても、任意団体のまま、団体の名前で申請できます。施行ガイドラインにも、こう書かれています。

民間教育事業として、こども食堂における学習支援等、スポーツクラブ等の事業が対象になり得るが、その運営主体は様々であり、ボランティアベースの集団により事業が運営されているようなところもある。
(こども性暴力防止法 施行ガイドライン 70ページ)

つまり、ボランティアベースで運営されている団体も、はじめから「対象になり得る」ものとして想定されているわけです。

そもそも「任意団体」とは

ここでいう任意団体は、法人登記をしていない団体のこと。たとえば次のようなものが当てはまります。

  • こども食堂や、そこで行う学習支援の会
  • 地域の有志で運営するスポーツクラブ・スポーツ少年団
  • 保護者やボランティアで続けている学習支援・無料塾
  • 子ども会・育成会

こうした団体は「法人格がない=制度の外」と思われがちですが、そんなことはありません。次に説明する条件を満たせば、堂々と団体名で認定を申請できます。

なお、認定取得までの全体の流れ(必要書類・手数料・審査期間など)は、認定申請の手続き完全ガイドで詳しく解説しています。


任意団体が認定を申請するための3つの条件

なぜ条件が付くのか。理由はシンプルで、認定を受けた事業者は、犯罪事実確認という、人のプライバシーに深く関わる情報を国のシステムを通じて扱えるようになるからです。「誰が責任を持つのか分からない集まり」にその権限を渡すわけにはいきません。

そこでガイドラインは、法人でない団体について、次の3つを求めています(p.70)。

①代表者または管理人の定めがあること

団体を代表する人、あるいは運営を取り仕切る人が、規約などで決まっていること。「なんとなく言い出しっぺが仕切っている」ではなく、誰が代表なのかがはっきりしている状態です。

②団体としての組織を有していること

単なる個人の寄せ集めではなく、団体として動く仕組みがあること。役割分担や運営のルールがある、というイメージです。

③統一された意思の下に活動していること

メンバーそれぞれがバラバラに動くのではなく、団体としてひとつの意思決定ができること。「この団体として、こう決めました」と言える状態ですね。

この3つは、行政不服審査法や法人税法でいう「人格のない社団等」の考え方を踏まえたもの。要するに、実態として組織だって活動していれば大丈夫ということです。逆にいえば、規約も代表も決めていない緩やかな集まりのままだと、ここでつまずきます


「法人格は不要」でも、これは満たす必要があります(落とし穴)

ここがいちばん誤解されやすいところ。「任意団体でもOK」と聞くと、つい「じゃあうちも簡単に取れるんだ」と思いがちですが、法人格が要らないだけで、ほかの認定要件は法人とまったく同じです。

正直にお伝えすると、ここで脱落する団体が少なくありません。

そもそも「民間教育事業」に当てはまるか(5つの要件)

認定の対象になるのは「民間教育保育等事業」。学習塾やスポーツクラブのように法律上の明確な定義がない事業については、ガイドラインが次の5つの要件を示しています(53〜55ページ)。

要件内容
①児童等への教授であること子どもに技芸・知識を教える事業。「主たる目的」までは求められず、こども食堂の学習支援なども対象
②標準修業期間が6か月以上6か月以上の期間で実施し、その間に複数回教える。同じ子が繰り返し参加できる
③対面指導を行うことオンライン専業は対象外(対面が想定されていれば対象になり得る)
④事業者が用意する場所での指導公民館・公園・施設など。子どもの自宅は除外
⑤教える人が3人以上これが入口の最大の関門

いちばんの関門は「教える人が3人以上」

⑤の3人以上という人数要件は、施行令で定められた認定の入口です(施行令第1条)。

ただ、任意団体にとって朗報なのは、この3人は雇用形態を問わないこと。ガイドラインは「派遣・ボランティア等の雇用形態を問わず、実態として教授に従事している者を含む」としています。つまり、ボランティアで教えている人も3人にカウントできるのです。

もうひとつ、よくいただく質問に「3人が毎回そろっていないとダメですか?」というものがあります。こちらも答えはいいえ。こども家庭庁は「3人が常駐する必要はありません」としています(Q&A令和8年4月・応用編3-5)。3人が交代で、その日は1人や2人で教えている、という運営でも条件は満たします。

逆にいうと、教えている人が代表ひとり、あるいは2人だけという団体は、民間教育事業としては対象外。「1人・2人で運営しているけれど認定を取りたい」という場合は、別の進め方を考える必要があります(このあたりはご相談ください)。

うちが「対象事業」に当てはまるのか、義務なのか任意なのか自体が曖昧、という方は、まず対象範囲の記事もあわせてご覧ください。

うちは対象?認定は義務?日本版DBSの対象範囲を解説
うちは対象?認定は義務?日本版DBSの対象範囲を解説

認定基準(規程・研修・情報管理)も法人と同じ

無事に対象事業に当てはまっても、その先には認定の基準が待っています。具体的には、

これらは、法人だろうと任意団体だろうと、求められる中身は変わりません。「任意団体だから免除される」項目は、基本的にないと考えてください。

【混同注意】「教える人3人以上」と「情報管理2人以上」は別の要件

ここで、ひとつ混同しやすいポイントを。日本版DBSの認定には、性質のまったく違う2つの人数要件が登場します。

要件何人?何のための要件か根拠
教える人(対象業務従事者)3人以上認定対象の「民間教育事業」に当てはまるための入口要件施行令第1条
情報管理体制(責任者を含む)2人以上犯歴情報を適正に管理するための認定基準規則第12条第1項

「3人」は“教える人の数”、「2人」は“情報管理に責任を持つ体制の人数”。指している中身がまったく違うので、「教える人が3人いれば情報管理もクリア」とはなりません。たとえば、ボランティア講師3人で運営する団体なら、その3人の中で情報管理の責任者を含む2人以上が記録の管理に責任を持つ、という体制を別途組む必要があります。

日本版DBS認定の人数要件の比較図。教える人は施行令第1条で3人以上(認定の入口)、情報管理は施行規則第12条で責任者を含め2人以上(認定の基準)。別の要件だが同じ人が両方を兼ねてよい。

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申請に必要な書類(任意団体の場合)

任意団体が申請するとき、法人との違いがいちばん出るのが添付書類です。法人なら登記事項証明書を出しますが、任意団体にはそれがありません。

そこでガイドラインは、会則や規約など、団体のルールを書いた文書の写しを提出することで、団体の存在や意思決定のあり方を確認するとしています(ガイドラインの表記は「定款又はこれに準ずるもの(会則、規約等)の写し」。70ページ)。

つまり、まだ規約を作っていない団体は、申請前に会則・規約を整えるところからがスタート。ここに「代表者の定め」「組織の構成」「意思決定の方法」が書かれていれば、先ほどの3つの条件をそのまま示せます。

そのほかの申請書類(事業の内容を説明する資料、従事者の情報など)の全体像は、申請手続きの記事で詳しく解説しています。

【2026年最新】日本版DBS認定申請の手続き完全ガイド|必要書類・手数料・審査期間を徹底解説
【2026年最新】日本版DBS認定申請の手続き完全ガイド|必要書類・手数料・審査期間を徹底解説

ケース別|こんな団体はどうなる?

団体の例認定の可否(目安)
こども食堂で、3人以上が継続的に学習支援5要件を満たせば対象になり得る
地域の有志3人以上で運営するスポーツクラブ6か月以上・対面・場所の要件を満たせば対象になり得る(👉 スポーツクラブの認定ガイド
学習支援・無料塾をボランティア3人以上で運営民間教育事業として対象になり得る(👉 学習塾の認定
代表1人・スタッフ1人の小さな教室3人未満のため、そのままでは申請不可

「あと1人いれば3人になるのに」という団体もあれば、「規約さえ整えれば条件を満たせそう」という団体もあるでしょう。自分たちがどこでつまずいているのかが分かれば、打ち手は見えてきます。


申請に向けて、まず何から手をつける?

「条件は分かった。でも、結局どこから動けばいいの?」——ここがいちばんの本音ではないでしょうか。任意団体の場合、最初の一歩はだいたい次の3つに整理できます。

ステップ1:会則・規約を整える
代表者の定め、組織の構成、意思決定の方法を文書にする。これがそのまま申請の添付書類になり、同時に「3つの条件」を満たしている証明にもなります。すでに規約がある団体は、この機会に内容を見直しておくと安心です。

ステップ2:「教える人が3人以上」か数える
ボランティアでも、実態として教えていれば3人にカウントできます。もし足りないなら、運営体制の見直しや、近隣の団体との連携といった打ち手も。

ステップ3:対象事業の5要件に当てはまるか確かめる
6か月以上の継続、対面指導、事業者が用意する場所——このあたりを順に照らし合わせていきます。

ここまで整理できて、はじめて対処規程・情報管理規程・研修といった認定基準の準備に進めます。逆にいえば、規約も体制も曖昧なまま申請書に向かうと、たいていどこかで手が止まる。 順番こそが、遠回りしないコツなんです。


よくある質問(FAQ)

Q
Q.法人化しないと、認定で不利になりますか?

いいえ。任意団体のままでも、法人と同じ基準で認定を受けられます。認定の有無や内容に、法人格の有無は影響しません。ただし将来的に助成金の申請などで法人格が必要になる場面はあるため、団体の事情に応じて検討するとよいでしょう。

Q
Q.代表者個人の名義で申請するのですか?

いいえ。条件を満たせば、団体名(団体としての名称)で申請します。個人ではなく、団体が申請主体になります。

Q
Q.任意団体でも手数料は同じですか?

認定申請の手数料は、法人・任意団体を問わず同じです(オンライン申請30,000円、書面申請31,500円。施行令第7条)。具体的な費用感は料金プランをご覧ください。

Q
Q.3人未満のボランティア団体は、もう認定を諦めるしかない?

諦める前に、確かめてほしいことがあります。この「3人以上」は、学習塾やスポーツクラブなどが当てはまる「民間教育事業」だけの条件です。同じ活動でも、別の枠に当てはまれば人数の条件はかかりません。

たとえば、学校や公民館を使って放課後に学習や遊びの場を提供している活動(放課後子供教室など)は、「放課後児童健全育成事業に類する事業」として認定の対象になり得ます。この枠には3人以上という条件はありません。

ですので、「民間教育事業としては申請できない」だけで、団体として認定の道が完全に閉ざされたわけではないということ。ほかにも、運営体制の見直しや、近隣の団体との連携といった選択肢もあります。「うちの活動はどの枠に当たるのか」を一度ご相談いただくのが近道です。

Q
Q.そもそも、うちは認定を取るべきなのでしょうか?

認定は任意です。取ることで保護者の信頼や採用面での差別化につながる一方、認定後は責任や継続的な対応も生じます。メリットとデメリットを天秤にかけて判断するのがおすすめです。判断の材料は、こちらの記事にまとめています。👉 日本版DBS認定マークは取るべき?メリット・デメリットと「あえて取らない」選択肢


まとめ|「うちはどうか」を一度たしかめてみませんか

ポイントを整理します。

  • 法人格のない任意団体でも、団体名で認定を申請できる
  • 条件は「①代表者または管理人の定め」「②団体としての組織」「③統一された意思」
  • ただし法人格が要らないだけで、3人以上・6か月以上・対面などの事業要件や、規程・研修・情報管理といった認定基準は法人と同じ
  • 申請時は会則・規約の写しで団体の実態を示す

「うちは条件を満たしているのか」「何から準備すればいいのか」——ここがいちばん迷うところだと思います。

私たち「このはのこ」は、行政書士と社会保険労務士が連携し、認定の準備から規程づくり・体制構築までをワンストップでお手伝いしています。こども食堂やボランティア団体など、法人ではない団体ならではのつまずきも、これまで一緒に整理してきました。

「うちの団体は申請できる?」「3人未満だけど、どうにかならない?」——そんなざっくりしたご相談でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

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法務と労務の力で、子どもたちの「安心」を支える
日本神話に登場する、桜の花のように美しく、そして燃えさかる炎の中でも我が子を産んだ、強く優しい女神・コノハナサクヤヒメ。 その大切な「子」たちを、現代社会の中でしっかりと守り育みたい。 私たち「このはのこ」は、そんな一つの願いのもとに集まった、行政書士と社会保険労務士の専門家チームです。 子どもたちを取り巻く環境には、様々な法律やルールがあります。 私たちは、許認可申請などの法的手続きの専門家「行政書士」と、働く環境づくりの専門家「社会保険労務士」が手を取り合うことで、事業者様が抱える課題を多角的に、そしてワンストップで解決します。
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