日本版DBS

スイミングスクール・スポーツクラブの日本版DBS認定ガイド|対象要件から準備まで

スイミングスクールでコーチが子どもたちに水泳を教えている様子
a.matsuo@konohanoko.com

「大手の学習塾が次々と日本版DBSに動いてるらしい。うちのスイミングスクールも何かやらないとまずい?」
「コーチが3人いないとダメって聞いたけど、アルバイトも数えていいの?」
「プールの更衣室とか、そういうのも関係してくる?」

日本版DBSの認定事業者とは、こども性暴力防止法に基づきこども家庭庁の認定を受けることで、従事者の犯罪事実確認(性犯罪歴の照会)が可能になる事業者のことです。スイミングスクールやスポーツクラブは、一定の要件を満たせば認定の対象になります。

認定は義務ではなく任意です。 取らなくても罰則はありません。ただし、認定を取らなければ犯罪事実確認は一切できません。「うちは安全です」と言いたくても、その裏付けとなる制度上の仕組みが使えないということです。

この記事では、スイミングスクール・スポーツクラブが認定を検討するうえで押さえておくべきポイントを、ガイドラインの具体的な記述をもとに整理します。日本版DBSの基本的な仕組みは以下の記事で詳しく解説しています。

【超入門】日本版DBS(子ども性暴力防止法)を世界一分かりやすく解説
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スイミングスクール・スポーツクラブが日本版DBSで問われること

「コーチとこどもだけ」の瞬間、ありませんか?

日本版DBSでは、犯罪事実確認の対象となる従事者かどうかを支配性・継続性・閉鎖性の3つの要件で判断します。スポーツ系の事業で特に注意が必要なのが閉鎖性です。

閉鎖性とは、「他の職員や保護者等が同席しないなど、第三者の目に触れない状況で児童等と接する機会が生じ得る場合」を指します。

個別指導でコーチとこどもが一対一になる場面は当然ですが、それだけではありません。

グループレッスンでも「閉鎖性あり」になるケース

ガイドラインには「従事者一人に対して児童等が複数の場合を含む」と書かれています。

コーチ1人が児童10人を指導するグループレッスンでも、そこに他の大人(別のスタッフや保護者)がいなければ、閉鎖性は「あり」です。

「グループレッスンだから大丈夫」とは言えません。

閉鎖性の判断基準を示す比較図

更衣室・シャワー室——ガイドラインが名指しする閉鎖空間

スイミングスクールに欠かせない更衣室やシャワー室について、ガイドラインは「プライバシー保護の観点から撮影が難しい閉鎖的空間」の例として、トイレ・更衣室・浴室を明示的に挙げています。

こうした空間に防犯カメラを設置するかどうかは各事業者の判断ですが、設置する場合の方法としてガイドラインでは以下が示されています。

  • 室内にはカメラを設置しない(プライバシー保護)
  • 入口にカメラを設置し、入退室のみを記録する
  • 被害の疑いが生じた場合の検証に活用する

カメラの有無にかかわらず、施設環境の整備として求められているのは以下です。

  • 他の従事者やこどもの目が行き届きにくい環境を可能な限り減らす
  • ハード面:物理的環境の見直しで密室状態を回避する
  • ソフト面:巡回の強化、複数名での見守り
  • 従事者間で死角となりやすい場所を議論し、意識を共有する

なぜ複数名での見守りが求められるかというと、こどもにとって最も身近なコーチこそが加害を行っている可能性も制度上は想定されているからです。だからこそ、特定のコーチだけに任せきりにしない体制が必要になります。

うちは対象?認定は義務?日本版DBSの対象範囲を解説
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うちのスクールは日本版DBSの認定対象?5つの要件をチェック

スイミングスクールやスポーツクラブが認定対象(「民間教育事業」)となるには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

認定対象となる5つの要件チェックリスト
#要件判断のポイント
児童等に技芸・知識を教える事業水泳・体操等の技術指導は該当。キッズクラスやジュニアクラスがあれば対象。大人のみ対象の事業に児童が例外的に参加しているだけでは対象外
修業期間が6か月以上通年の週1〜2回レッスンは該当。夏休みだけの短期教室(1〜2週間完結)は単体では非該当
対面で指導するスポーツ指導は当然に該当
事業者が用意した場所で行う自社プール、テナント施設はもちろん、公共プール・市営体育館を借りている場合も該当
教える人が3人以上下記で詳しく解説

コーチ・アルバイト・ボランティア——「3人以上」の数え方

5つの要件の中で最も判断に迷うのがこの「3人以上」です。

ガイドラインでは、この人数に「派遣労働者、ボランティアなど、雇用の有無・形態を問わず、実態として教授に従事している者を含む」と明記されています。

  • 正社員コーチ → カウントする
  • アルバイト・パートのコーチ → カウントする
  • ボランティアの指導者 → 実態として指導していればカウントする
  • 業務委託の個人コーチ → 実態として指導していればカウントする
  • 受付スタッフ・清掃員 → 教授を行わないのでカウントしない
教える人3人以上の数え方を示す図

「正社員コーチ2人+週末だけのアルバイトコーチ1人」でも3人の要件を満たします。逆に、コーチが1〜2名だけの小規模教室は認定の対象外です。

夏休みだけの短期教室はどうなる?

要件②「6か月以上」は、次の3つをすべて満たすかで判断されます。

  1. 6か月以上の期間にわたって事業を実施している
  2. その期間に複数回、教授を行っている
  3. 同一の児童が複数回参加できる

通年で週1回以上開催しているスクールなら問題ありません。

少し判断が分かれるのが季節限定のプログラムです。たとえば「夏のキャンプ+冬のスキー教室」を年間プログラムの一環として位置づけ、同じ児童が両方参加できる構造であれば、6か月以上に該当します。一方、7月に1回・12月に1回だけの完全に独立したプログラムは対象外です。

公共プールを借りて運営している場合は?

自前の施設を持たず、公共プールや市営体育館を借りてスクールを開いているケースも多いと思います。

要件④は「事業者が用意する場所」ですが、ガイドラインの例示には「公民館等の個室」「公園、山、海等」も含まれています。事業者側が主体的に場所を選択していれば要件を満たすので、レンタル施設・公共施設でも問題ありません。

「小さい塾でも取れる?」学習塾の日本版DBS認定|条件・費用・研修まとめ
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認定を取るとどうなる?取らないとどうなる?

認定で可能になること

認定を取ると、以下のことが可能になります。

  • 犯罪事実確認:従事者に特定性犯罪の前科がないかを国に照会して確認できる
  • 「こまもろう」マーク:認定事業者用のマークを掲示でき、保護者に「この教室は犯罪歴確認をしています」と示せる

どの教室を選ぶか迷う保護者が「あそこは確認している」と判断できる根拠になります。

認定は「任意」——それでも知っておくべきリスク

認定を取らなくても罰則はありません。ですが、認定を取らないということは、犯罪事実確認を行う手段がないということです。

もし従事者による性暴力が発生した場合、「犯罪歴確認の仕組みがあったのに使っていなかった」という事実は、保護者や社会からの批判を大きくします。子どもの安全に関わる問題である以上、「任意だからやらなかった」では済まされない場面が出てくる可能性があります。

また、施行後は以下のような変化が見込まれます。

  • 認定の有無は公開情報になるため、保護者が教室選びの判断材料にする
  • 同業の教室が認定を取得すれば、取っていない教室との差が可視化される
  • こどもを預ける保護者の「安全確認をしているか」への関心は、制度ができたことで確実に高まる
【注意】日本版DBSの「認定」、安易に受けると危険かも? 事業者が背負う“重すぎる”責任とデメリットを徹底解説
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スポーツ指導と「身体接触」——保護者にどう説明するか

ガイドラインはスポーツ・水泳を名指ししている

ガイドラインには、「スポーツ、水泳、バレエ、ダンス等においては、児童等及び保護者の理解を得た範囲で、身体接触を伴う指導があり得る」という記述があります。

身体接触を伴う指導そのものが禁止されているわけではありません。ただし、事業者には「不適切な行為」の具体的内容を定め、従事者に周知することが求められています。

スポーツ指導で特に注意すべき「不適切な行為」の例:

  • 指導に必要な範囲を超える身体接触
  • 不必要に更衣室やこどもが着替えている部屋に入る
  • 不必要にこどもと二人きりになろうとする

入会時の契約書で身体接触のルールを明記する

ガイドラインは、スポーツ指導において「あらかじめ個別契約等がある場合には、その書面で身体接触の有無・範囲について合意をしておく工夫」を推奨しています。

具体的には:

  • 入会時の契約書や同意書に、指導上の身体接触の有無と範囲を書いておく
  • 「不適切な行為」として事業所内で定めたルールを保護者に事前に説明する
  • 保護者と共通認識を持ったうえで指導にあたる

法律上の義務ではなく推奨ですが、保護者からの信頼にも、万が一のときの事業者の防御にも使える対策です。対処規程の中に身体接触のルールを組み込んでおくことをおすすめします。

日本版DBS「児童対象性暴力等対処規程」の作り方|不適切な行為の判断基準から労務管理まで完全解説
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認定取得までのロードマップと費用

認定取得までの3ステップのロードマップ図

いつから申請できる?

  • 施行日: 2026年12月25日(この日以降、認定申請が可能)
  • 認定の処理期間: 1〜2か月程度の見込み

施行前の今からできることは多くあります。

【2025年10月現在】日本版DBS認定、事業者が「今すぐ」着手すべきことの完全マップ
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  • 就業規則の整備(採用時にDBS関連条項を追加)
  • 採用時の誓約書の導入(面接で前科を直接聞くのはNG → 誓約書で確認する形)
  • 求人票への記載(犯罪事実確認を実施する旨を明記)
  • GビズIDの取得(申請に必要な事業者向けID)

認定申請の費用

  • 手数料: 30,000円/事業(電子申請)。例外的に書面申請となる場合は31,500円(郵送費込み)
  • 認定の単位は「事業ごと」で、事業所ごとではありません
    • 3拠点でスイミングスクールを運営 → 1件分の手数料で済む
    • 水泳教室と体操教室を同一法人が運営(いずれも民間教育事業) → 1件で申請可能
    • スイミングスクールと放課後児童クラブなど、法律上の事業分類が異なる場合 → 別々に申請が必要
【2026年最新】日本版DBS認定申請の手続き完全ガイド|必要書類・手数料・審査期間を徹底解説
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認定に必要な体制整備

認定を受けるには、以下の6つの基準を満たす必要があります。

基準内容
犯罪事実確認の実施体制(責任者の選任)
早期把握措置(日常観察・面談・アンケート等)
相談体制(事業所内の窓口+外部窓口の周知)
児童対象性暴力等対処規程の作成
研修の実施(座学+演習)
情報管理措置(犯罪事実確認記録等の管理)

対処規程・情報管理規程の雛形は、こども家庭庁がほぼ穴埋め式で公表しています。規程を「作る」こと自体は、正直それほど難しくありません。

本当に準備が必要なのは、規程に書いたことを実際に動かせる体制を作ることです。更衣室の管理ルール、複数名での見守り体制、死角のチェック、研修の実施——こうした「運用」の部分が、スポーツ系事業では特に手間がかかります。

認定後に始まる義務

  • 犯罪事実確認: 新規従事者は業務開始前に確認。認定時の現職者は認定日から1年以内。以降5年ごとに再確認。手数料は不要
  • 定期報告: 認定日から1年経過ごとにこども家庭庁へ報告
  • 帳簿の備付け: 毎年度作成、5年間保存
日本版DBS|認定を迷っていても、「今すぐ」就業規則と採用プロセスを見直すべき理由
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「規程は作れそうだけど、体制づくりが不安」——そんなときは、専門家の力を借りてください。「このはのこ」では、認定事業者向けのプランをご用意しています。

よくある質問(FAQ)——スイミングスクール・スポーツクラブの日本版DBS認定

Q
Q.認定は義務ですか?取らなくても罰則はありますか?

認定は任意です。取らなくても罰則はありません。ただし、認定を取らなければ犯罪事実確認はできないため、保護者に「犯罪歴確認を実施しています」とは言えません。

Q
Q.うちはコーチが2人ですが認定の対象になりますか?

「教える人が3人以上」の要件を満たさないため、現時点では認定対象外です。ただし、アルバイトやボランティアで指導に関わる方がいれば、その方も含めて3人以上になれば対象です。

Q
Q.認定申請はいつからできますか?

施行日(2026年12月25日)以降に申請が可能になります。施行前の今からは、就業規則の整備・誓約書の導入・GビズIDの取得など準備を進めておくことをおすすめします。

Q
Q.費用はどのくらいかかりますか?

認定申請の手数料は30,000円/事業(電子申請)です。複数拠点で同じ事業を行っていても1件分で済みます。犯罪事実確認自体に手数料はかかりません。規程作成や体制構築を専門家に依頼する場合はその費用が別途かかります。

Q
Q.認定を取った後、毎年やることはありますか?

認定日から1年経過ごとにこども家庭庁へ定期報告をする必要があります。帳簿の備付け(毎年度作成・5年保存)と、5年ごとの犯罪事実確認の再実施も必要です。

まとめ

スイミングスクール・スポーツクラブは、5つの要件を満たせば日本版DBSの認定対象です(認定は任意)。

  • スポーツ系事業では「閉鎖性」が最大のポイント——グループレッスンでも他の大人がいなければ閉鎖性あり
  • 更衣室・シャワー室はガイドラインが名指しする閉鎖空間。入口カメラ・巡回強化の検討を
  • 身体接触はスポーツ・水泳を名指しした記述あり。入会契約書への明記が推奨
  • 「教える人が3人以上」にはアルバイト・ボランティアも含む
  • 認定手数料は30,000円/事業。複数拠点でも1件分
  • 就業規則・誓約書・GビズIDの準備は今すぐ着手できる

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日本神話に登場する、桜の花のように美しく、そして燃えさかる炎の中でも我が子を産んだ、強く優しい女神・コノハナサクヤヒメ。 その大切な「子」たちを、現代社会の中でしっかりと守り育みたい。 私たち「このはのこ」は、そんな一つの願いのもとに集まった、行政書士と社会保険労務士の専門家チームです。 子どもたちを取り巻く環境には、様々な法律やルールがあります。 私たちは、許認可申請などの法的手続きの専門家「行政書士」と、働く環境づくりの専門家「社会保険労務士」が手を取り合うことで、事業者様が抱える課題を多角的に、そしてワンストップで解決します。
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