対処規程

日本版DBSの「報告ルール・対応ルール・相談窓口」って何を決めればいいの?小さな事業者向けにやさしく解説

スイミングスクールの事務室で、管理者とスタッフが壁の対応フロー図を確認しているイラスト。日本版DBSの報告ルール・対応ルール・相談窓口の作り方
a.matsuo@konohanoko.com

「準備を進めてたら、『報告ルール』とか『対応ルール』とか『相談窓口』とか、急にいろいろ出てきた。……何それ?」

日本版DBS(こども性暴力防止法)の準備で、多くの方が最初に戸惑うのがここです。国のひな型(穴埋め式のWordファイル)はあるんです。でも開いてみると、「報告先:□□太郎」「責任者:氏名(役職名)」——肝心の中身は、全部自分で決めてね、という作りなんです。

安心してください。難しい言葉が並んでいますが、決めることは実はシンプル。この記事では、決めるべきことを3つに絞って、かみくだいて説明します。

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そもそも何のためのルール?

ひとことで言うと、「もしも」のときに、慌てずに動けるように準備しておくためのルールです。

  • 報告ルール:スタッフが「あれ、おかしいな」と気づいたとき、誰に知らせるか
  • 対応ルール:知らせを受けたら、誰が・どう動くか
  • 相談窓口:こどもや保護者が、どこに相談できるか

これだけです。そして大事なのは、この3つが認定を目指すスクールや塾にも、放デイ・保育所などの義務事業者にも、どちらにも求められるということ。認定を取る場合は審査の条件そのものなので、「申請するときにはもう動かしている」状態が必要になります。

図解:施行規則第8条の早期把握措置は3点セット。①気づく(日常的な観察・定期的な面談アンケート)→②上げる(報告ルール:誰が誰に何をその日のうちに)→③動く(対応ルール:責任者+対応チームで即日会議)。従事者・こども・保護者への周知まで含めて要件

決めること①:「誰に知らせるか」(報告ルール)

スタッフがこどもへの性暴力や「ちょっと気になる行動」に気づいたとき、誰に知らせるか。ここは大事なところなので、国のひな型の原文を1か所だけ見てみましょう。

従事者によるこどもへの性暴力や不適切な行為の疑いを把握した場合、可能な限り早急に、遅くともその日のうちに、2.の報告先に報告を行う。
(こども家庭庁「報告ルールひな型」より)

固い文章ですが、言っているのは「気づいたら、その日のうちに、決めた相手へ」。これだけです。あなたが決めるポイントは2つ。

1つ目:確信がなくても知らせていい、と決めておく。

「気のせいかもしれないし……」と黙ってしまうのが、いちばん怖いパターン。だから「違和感レベルでいいから、その日のうちに言う」とルールに書いておくんです。

2つ目:知らせる先を、代表1人にしない。

小さな事業所だと、報告先は「オーナー」か「管理者」の1人になりがちです。でも考えてみてください。もしそのオーナー本人が疑われたら? 知らせる先が消えてしまいますよね。だから、代表以外のもう1人と、外部の窓口(児童相談所や警察など)も併記しておく。ここは国も「匿名で通報できる窓口も大事」と言っているところです。


決めること②:「誰が・どう動くか」(対応ルール)

報告を受けたあとの動き方です。ひな型では、責任者を1人決めて、数人のチームで対応する形になっています。

流れはこうです。

  1. その日のうちにチームで集まって、方針を決める(警察や役所に相談する?保護者にどう伝える?)
  2. 調べる(証拠を守る、話を聴く)
  3. 結果に応じて対応する(こどもを守る、再発を防ぐ)
図解:疑い・違和感を把握してその日のうちに報告→チーム会議①(即日)で初期対応の方針決定(警察・所管行政庁への相談、保護者への連絡、一時的な接触回避)→調査(証拠保全→聴き取り→事実の評価、聴きすぎない)→調査を踏まえた対応(防止措置・保護支援・再発防止)。責任者が疑われた場合は外して新たに任命

「うち、スタッフ8人だけど、チームなんて組めるの?」——よく聞かれます。大丈夫、代表+2人の3人で十分です。決めておくべきなのはむしろ、責任者本人が疑われたときに誰が代わるか。ここまで決めてある事業所は、ほとんどありません。

もうひとつ、現場で本当に大事なことをひとつだけ。こどもから被害を打ち明けられたとき、根掘り葉掘り聞いてはいけないんです。よかれと思って何度も聞くと、こどもの記憶が変わってしまい(「記憶の汚染」といいます)、その後の対応で証言が使えなくなるおそれがある。「聴くのは最小限、あとは専門家に」。これはスタッフ全員に研修で伝えておきたいところです。

📝 研修のやり方(小規模でもできる形)はこちらで解説しています。

日本版DBS研修|講師3人でもできる!小規模事業者の実施方法と記録の残し方
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決めること③:「どこに相談できるか」(相談窓口)

3つ目は、こどもや保護者のための相談窓口。これは「うちの窓口」と「外部の窓口」の2階建てが決まりです。

うちの窓口は、相談員を決めて、こどもと保護者に知らせればOK。資格は要りません。コツは「話しやすさ」で、たとえば女性のスタッフも入れる、手紙やメールでもいい、名前を言わなくてもいい、と伝えておくことです。

外部の窓口は、国や自治体の相談先の一覧を作って配ります。児童相談所の全国ダイヤル(0120-189-783)など、載せるべき窓口は国が一覧で示してくれているので、そこから選べば大丈夫。放デイ・保育所の場合は、自治体の虐待相談窓口も加えます。

ひとつだけ、認定を取る方に大事な注意を。相談員が辞めて、後任を決めないまま放っておくと、認定の取消し理由になり得ます。窓口は「作って終わり」ではなく「維持するもの」なんです。


ひな型はある。じゃあ何が大変なの?

ここまで読んで、「思ったよりシンプルだな」と感じたかもしれません。そのとおりで、国のひな型は本当によくできています。保護者向け・こども向けの配布資料まで、年齢別にひな型があるくらいです。

じゃあ何が大変なのか。作ることじゃなくて、動かし続けることなんです。

  • 報告先に書いた人が退職したら、すぐ書き換えていますか?
  • 「違和感で報告していい」「聴きすぎない」を、新しいスタッフにも研修で伝えていますか?
  • 相談員が辞めたら、後任を決める段取りはありますか?
  • 毎年の国への報告で、「ちゃんとやってます」と答えられますか?

さらに実際に書き始めると、「うちの場合、外部の報告先はどの役所?」「放デイの虐待通報の義務とどう整理するの?」「認定の対処規程にはどこまで書くの?」と、事業の種類ごとに答えが変わる細かい論点が次々出てきます。正直、ここから先はややこしい。この線引きを間違えたまま認定申請や運用に進むと、あとで直すほうが大変です。

📝 認定を取る方は、これらのルールを「対処規程」という規程にまとめていきます。作り方はこちら。

日本版DBS「児童対象性暴力等対処規程」の作り方|不適切な行為の判断基準から労務管理まで完全解説
日本版DBS「児童対象性暴力等対処規程」の作り方|不適切な行為の判断基準から労務管理まで完全解説

よくある質問(FAQ)

ひな型を埋めること自体は、頑張ればご自身でもできます。ただ、「報告先をどの役所にするか」「うちの業種では何がNGか」の線引きは、事業ごとに本当にバラバラです。埋めたものを一度プロの目でチェックするだけでも、安心感が違います。

Q
Q. 放デイや保育所にも「対処規程」が必要ですか?

いいえ。対処規程が必要なのは認定を取る事業者だけです。放デイ・保育所などの義務事業者に必要なのは、報告・対応ルール、相談窓口、情報管理規程の3つです。

Q
Q. 相談員は誰がやればいいですか?

資格は不要で、スタッフの中から決めれば大丈夫です。できれば複数、性別のバランスにも配慮を。外部に委託することもできます。

Q
Q. 未就学児ばかりで、こどもへのアンケートなんてできません。

国も「未就学児にアンケートは難しい」としています。日々の観察と会話、保護者との面談で気づく形にすれば大丈夫です。

Q
Q. ルールは作って保管しておけばいいですか?

いいえ、スタッフ・こども・保護者に知らせるところまでがセットです。配布用のひな型も国から出ています。

まとめ:決めるのは3つ。難しいのはその先

  • 誰に知らせるか(代表以外のもう1人+外部窓口も)
  • 誰が・どう動くか(責任者+チーム。責任者が疑われたときの代役も)
  • どこに相談できるか(うちの窓口+外部窓口の2階建て)

この3つが決まれば、骨組みは完成です。そして、事業の種類ごとの細かい書き分けや、動かし続ける仕組みづくりは、正直、片手間でやるには荷が重い部分。「うちの場合はどう書けばいいの?」と思ったら、そこがまさにご相談いただくタイミングです。行政書士と社労士がワンストップで対応する「このはのこ」が、ルールづくりから運用まで伴走します。

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    法務と労務の力で、子どもたちの「安心」を支える
    日本神話に登場する、桜の花のように美しく、そして燃えさかる炎の中でも我が子を産んだ、強く優しい女神・コノハナサクヤヒメ。 その大切な「子」たちを、現代社会の中でしっかりと守り育みたい。 私たち「このはのこ」は、そんな一つの願いのもとに集まった、行政書士と社会保険労務士の専門家チームです。 子どもたちを取り巻く環境には、様々な法律やルールがあります。 私たちは、許認可申請などの法的手続きの専門家「行政書士」と、働く環境づくりの専門家「社会保険労務士」が手を取り合うことで、事業者様が抱える課題を多角的に、そしてワンストップで解決します。
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