【2026年1月最新】日本版DBSガイドライン案で判明した”具体的ルール”総まとめ|手数料・犯歴確認スケジュール・労務対応の全貌
「日本版DBS、結局うちは何をすればいいの?」 「手数料っていくら?」 「犯歴確認っていつから始まるの?」
2026年12月の施行が近づくこども性暴力防止法(日本版DBS)。情報収集を進めている事業者様からは、こんな声をよく耳にします。
そして2025年12月26日、ついに待望の「ガイドライン案」が発表されました。
これまで「検討中」とされていた手数料の金額、犯歴確認のスケジュール、労務対応の具体的な手順——。事業者の皆さんが最も知りたかった”実務の細部”が、ようやく形になったわけです。
この記事では、10月の「中間とりまとめ」と比較しながら、2026年1月時点で判明している最新ルールを整理していきます。
学習塾やスポーツクラブなど認定対象の事業者様はもちろん、学校や認可保育所など義務対象の事業者様にも参考になる内容かと思います。少し長いですが、お付き合いください。
まず押さえておきたい「ガイドライン案」の位置づけ
本題に入る前に、「そもそもガイドライン案って何?」という点を簡単に。
中間とりまとめ(2025年10月)って何だった?
こども家庭庁の検討会がまとめた「制度の骨格」です。「こういう方向で進めますよ」という大枠は示されたものの、「で、手数料はいくらなの?」「犯歴確認のスケジュールは?」といった肝心な数字は「検討中」のままでした。
正直、これだけでは動きようがない——そう感じた事業者様も多かったはずです。
ガイドライン案(2025年12月26日)で何が変わった?
ここでようやく、実務に直結する具体的な数字やルールが出てきました。
要するに、「何をすればいいか」がやっと見えてきた、ということ。施行まで1年を切った今、日本版DBS取得を目指すならば把握すべき内容です。
【判明①】認定申請の手数料が確定——1事業あたり3万円

オンラインなら30,000円、書面なら31,500円
中間とりまとめでは「3万円程度」とぼんやりした表現でしたが、ガイドライン案で金額が確定しました。
- オンライン申請:30,000円
- 書面申請:31,500円
ちなみに、この手数料は一度きり。「毎年更新料がかかるのでは?」と心配されていた方もいらっしゃいましたが、更新制度は設けられないとのこと。ここは少しホッとするポイントかもしれません。
落とし穴:「1事業者」ではなく「1事業」ごと
ただし、ここで見落としがちなのが、手数料は「事業者単位」ではなく「事業単位」でかかるという点。
たとえば「学習塾」と「放課後児童クラブ」を両方やっている場合、それぞれ別々に申請が必要になります。手数料も当然2回分。3つの事業をやっていれば3回分。
複数事業を展開している方は、事前に費用感を把握しておいたほうがいいでしょう。
GビズIDの取得は今すぐ始めてOK
申請は基本的にオンラインで行われ、その際「GビズID(プライム・メンバー)」の取得が必須になります。
GビズIDはデジタル庁が発行する事業者向けのIDで、取得には少し時間がかかります。「申請直前になって慌てる」というパターンを避けるためにも、今のうちに動いておくのが賢明です。
【ひとこと】 認定申請の全体像——必要書類や審査期間など——については、改めて別の記事で詳しくまとめる予定です。
【判明②】マークは「認定事業者用」と「法定事業者用」の2種類に
2つのマークが区別されることに
中間とりまとめでは「認定マークを作ります」という話だけでしたが、マークが2種類に分けられることが明らかになりました。

| マーク | 誰が使える? |
|---|---|
| 認定事業者マーク | 認定を受けた民間事業者(学習塾、スポーツクラブなど) |
| 法定事業者マーク | 義務対象の学校設置者など |
どこに表示できる?
マークを載せられる場所として、以下が例示されています。
- パンフレットやウェブサイト(これは想定内)
- 制服(スタッフが着るユニフォームなど)
- 名刺
- 求人広告
求人広告にも使えるというのは、なかなか大きい。「うちは国の基準をクリアしています」というアピールが、保護者向けだけでなく採用面でも差別化要因になり得ます。
【判明③】「不適切な行為」の線引きがかなり具体的に
定義がはっきりした
「不適切な行為って、具体的に何を指すの?」という疑問に対して、ガイドライン案ではかなり踏み込んだ説明がされています。
定義としては、
「業務上必ずしも必要とは言えない行為で、エスカレートすれば性暴力につながり得るもの」
……といった趣旨。要は「今すぐ違法ではないけれど、放置すると危ない行為」ということですね。
具体的にどんな行為?
以下のような行為がリストアップされました。
- SNSで私的に連絡先を交換する、プライベートなやり取りをする
- 休日や放課後に私的に会う
- 不必要なボディタッチ——膝に乗せる、おんぶ、過度なマッサージなど
- ルール外での写真・動画撮影
- 不必要な入浴介助や着替えの手伝い、更衣室への立ち入り
「これはダメだろう」と感覚的にわかるものもあれば、現場によっては判断が難しいケースもあるでしょう。
現場ごとの事情も考慮されている
たとえば、未就学児との信頼関係を築くためのスキンシップや、バレエ・水泳などの指導で必要になる身体接触——こうしたものまで一律に「アウト」とされるわけではありません。
ガイドライン案でも、事業内容や子どもの年齢・発達段階によって「不適切」の範囲は変わり得ることが明記されています。
だからこそ、事業者側としては「うちではここまでOK、ここからはNG」という自社ルールを作り、スタッフや保護者に共有しておくことが大切になってきます。
【ひとこと】 この「自社ルール」をまとめたものが「児童対象性暴力等対処規程」と呼ばれる書類です。作り方のポイントは、また別の記事に。
【判明④】現職者280万人、どうやって犯罪事実確認するの?——「分散申請」の仕組み

「3年以内」から、より具体的なスケジュールへ
中間とりまとめでは「施行から3年以内に現職者の確認を行う」とだけ書かれていました。でも280万人もの現職者を、どうやってさばくのか? そこが見えていなかったんですよね。
ガイドライン案では、システムの負荷と事業者の負担を分散させる具体策が示されました。
27か月を27区分に分けて順次対応
計画案はこんな感じです。
- 期間:令和9年4月〜令和11年6月(27か月間)
- 方法:1か月ごとに27の区分に分け、所在地や事業種別に応じて順番に申請を受け付ける
「よーいドン」で一斉に殺到するのではなく、「あなたの番は○月です」と順番が振り分けられるイメージです。自分の事業がいつ該当するのかは、今後の発表を待つことになります。
新しく人を採用するとき、いつから確認できる?
これも気になるところでしたが、明確になりました。
「内定通知や異動内示など、その人が対象業務に就くことが確定した段階」から手続きを始められる
つまり、入社日を待たずに動ける。採用が決まったら早めに確認を進められるわけです。
「いとま特例」——急な欠員でどうしても間に合わないときは?
現実問題として、「確認が終わる前に現場に出てもらわないと回らない」というケースもあり得ます。
そのための「いとま特例」という仕組みがあり、こちらも詳細が固まってきました。
- 特例適用中は、原則として子どもと一対一にさせない
- ただし、カウンセリングや緊急対応などでやむを得ず一対一になる場合は、事前承認・事後報告のルールに従う
【判明⑤】「前科あり」が出たらどうする?——労務対応の具体的な道筋

一番頭が痛いところ、ようやく指針が出た
正直なところ、「犯歴確認で前科が出たらどう対応すればいいの?」という問題が、事業者にとって最大の悩みどころではないでしょうか。
中間とりまとめでは「労働法制との関係に留意する」という曖昧な表現にとどまっていましたが、ガイドライン案では判例を踏まえた具体的な対応手順が整理されました。
鍵を握るのは「採用時の事前確認」
結論から言うと、採用の段階でどれだけ手を打っておくかが、後々の選択肢を大きく左右します。
推奨されている対応は以下の通り。
- 採用募集要項に「特定性犯罪前科がないこと」を条件として明記
- 履歴書や誓約書で、性犯罪歴の有無を直接確認
- 内定通知書に「重要な経歴の詐称」を取消事由として記載
なぜここまでやるのか? 理由は単純で、「犯歴があった」という事実だけでは解雇や内定取消が認められにくいからです。
ケース別に見る「内定取消」の可否
【取消が認められやすいパターン】
事前に「前科はありますか?」と確認し、本人が「ありません」と答えていた。でも実際には前科があった——このケースなら、「重要な経歴の詐称」として取消の合理性が認められやすいとされています。
【取消が難しいパターン】
事前確認をしていなかった。犯歴確認で初めて前科が判明した——この場合、いきなり内定取消はハードルが高い。まずは配置転換など、他の手段を検討することになります。
要するに、「聞いていたかどうか」で対応の幅がまったく変わってくる。だから採用段階での確認が重要、というわけです。
辞退者への配慮も求められる
もうひとつ、地味だけど大事なポイント。
犯歴確認の後に内定辞退した人がいた場合、周囲から「あの人、前科があったから辞退したんじゃ……」と邪推されるリスクがあります。
こうした偏見を防ぐため、確認結果は適正に管理・廃棄することが義務付けられています。
【ひとこと】 就業規則の見直しは、今からでも着手できます。ただし「性犯罪歴が判明した場合の対応」「配置転換に関する規定」など、整備しておくべき項目は意外と多く複雑。事業内容にも沿った対応が可能な専門家へのご相談が重要です。
【判明⑥】犯歴情報の管理——小規模事業者への配慮も
「一律」から「二段構え」へ
犯歴情報は、個人情報の中でも特にセンシティブなもの。その管理について、中間とりまとめでは「適正に管理すること」と書かれていただけでした。
ガイドライン案では、事業者の規模に応じて2つの基準が設けられています。
| 基準 | 想定される事業者 |
|---|---|
| 標準的措置 | 規模が大きい事業者向け。より高度な管理体制 |
| 最低限求められる措置 | 小規模事業者向け。負担に配慮した内容 |
「大企業並みの体制なんて無理」という小さな教室や施設にも、現実的に対応できる道筋が示された形です。
「情報管理規程」の届出が必要
自社がどちらの基準で運用するかを決めたら、それを「情報管理規程」としてまとめ、こども家庭庁に届け出る必要があります。
届出のタイミングは、初めて犯歴確認を申請する前。後回しにすると申請自体ができなくなるので、早めに準備しておきたいところです。
紙に出さない、ファイルに保存しない——が基本方針
情報漏洩リスクを減らすため、犯歴情報はシステム画面での閲覧にとどめ、紙への印刷や電子ファイルへの転記は極力避けるという方針が示されています。
「見るだけ、持ち出さない」が原則。これにより、事業者側の管理負担も軽くなるはずです。
【ひとこと】 とはいえ、「誰がアクセスできるか」「万が一漏れたらどうするか」など、決めておくべきことは多々あります。情報管理規程の作り方については、別記事にてご紹介いたします。
ここまでの変更点を一覧で整理
| 項目 | 中間とりまとめ(10月) | ガイドライン案(12月) |
|---|---|---|
| 手数料 | 3万円程度(検討中) | 30,000円(オンライン)/ 31,500円(書面)で確定 |
| マーク | 「作る」という方針のみ | 「認定事業者用」「法定事業者用」の2種類 |
| 不適切な行為 | 概念の説明程度 | SNS交流、身体接触など具体例を多数列挙 |
| 現職者の確認 | 3年以内に実施 | 27か月を27区分に分けた分散スケジュール |
| 労務対応 | 「留意が必要」との記載 | 採用時の事前確認の重要性、判例ベースの対応策 |
| 情報管理 | 一律に適正管理 | 規模に応じた「標準」「最低限」の2段階 |
施行まで1年、何から手をつける?
ガイドライン案が出たことで、「やるべきこと」がだいぶクリアになってきました。
すぐに動けること
- GビズIDの取得——申請に必要なので、早めに
- 就業規則のチェック——採用条件、懲戒事由の整備
- 採用プロセスの見直し——誓約書での事前確認を組み込む
- 現職スタッフへの説明——「こういう制度が始まります」という周知
施行までに整えておくこと
- 情報管理規程の作成——届出が必要
- 対処規程の作成——万が一の事態に備えたルールブック
- 相談窓口の設置——子どもや保護者が声を上げられる仕組み
- スタッフ研修——制度の理解と意識づけ
おわりに——「自分たちだけでは難しい」と感じたら
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「内容はわかった。でも、これ全部自分たちでやるの……?」
そう思われた方も少なくないのではないでしょうか。
法律の条文を読み解いて、規程をゼロから作って、就業規則も見直して、届出書類を揃えて——。日々の運営をしながらこれらをこなすのは、正直かなりの負担です。
私たち「このはのこ」は、こうした認定手続きや規程づくりの専門家です。
- 何から手をつければいいかわからない → 体制づくりのご相談
- 規程を作る時間がない → 対処規程・情報管理規程の作成代行
- 就業規則が心配 → 社会保険労務士の労務面のサポート
- 申請手続きが面倒 → 書類準備から提出までの代行
「うちの場合、具体的に何が必要?」 「とりあえず話だけ聞いてみたい」
そんなざっくりしたご相談でも構いません。お気軽にお問い合わせください。
※この記事は2026年1月時点の情報をもとにしています。今後、正式なガイドライン公表やマニュアル発表により内容が変わる可能性があります。最新情報はこども家庭庁のウェブサイト等でご確認ください。
